【読書サークル】第1回「これ読んでるよ!」

読書

「最近、無目的にインスタやYouTubeを観てしまっている」
「もっと読書したいぞ」
「アウトプットした方がやる気が出るだろう!」

という動機から、読書サークルを立ち上げました。

名前は「これ読んでるよ!」

小さい子どもが大人に本を紹介するように、参加者が今読んでいる本を語ってもらいたいという想いが込められています。

課題図書は指定せず、現在読んでいる本を紹介してもらうことだけを各参加者にお願いしています。

試験的に行った第0回については、【開催報告】オンライン読書会をしたよ! をお読み下さい。

さて、記念すべき第1回を2021年7月4日日曜日の15~17時に、ZOOM上で開催しました。

参加者は…

彩さん(Twitter:@yaashiyabayami)
・高橋かずひろさん(以下、かずひろさん。Twitter:@kazuhirosanto)

以下では、各参加者が紹介してくれた本&ディスカッションの内容をご紹介!

※著者および編者の敬称は、省略してあります。

①青山玲二郎他編(2020)『リンガフランカとしての日本語:多言語・多文化共生のために日本語教育を再考する』明石書店

一人目は、私ジェリーわたなべTwitter)。リンガフランカとしての日本語:多言語・多文化共生のために日本語教育を再考するという本に収録されている、「第6章 日本語が国際言語になることの影響:第二言語またはリンガフランカとして」と「第7章 言語使用者を母語話者の規範から解放する言語教育:国際英語と国際日本語」という2編の論文を紹介しました。

リンガフランカとは、ザックリ言えば「世界中で広く使われている言語」という意味。

現在海外では、400万人弱の人々が日本語を学んでいます。学ぶ理由も様々。就職のため、趣味教養のため、両親や祖父母世代の文化を受け継ぐため(継承語教育といいます)などです。

今回紹介した2編の論文は、「すべての日本語学習者が、全て日本に住む日本語母語話者と同じレベルを目指さねばならないのか?」、「もっと日本語学習のゴールを柔軟にすべきでは?」と問題提起しているのです。

今回これらの文献を紹介した理由は、「日本語学習のゴールを柔軟に設定しよう」という考え方が「自分自身が語学を学ぶ時にも応用できる」と考えたから。

語学の勉強というと、つい「ネイティブと同じように聞けて、話せて、読めて、書けなければならない」と思うことが多いのではないでしょうか。確かに通訳の方のように、非常に高度な言語運用能力が必要とされる方もいます。でも、すべての学習者がそこまで目指さなくても、よいのではないでしょうか。

僕の好きな英語話者に、Tastyという料理系YouTubeチャンネルで活躍されている、RIEさんがいます。日本に生まれて現在はロサンゼルス在住の彼女は、必ずしもネイティブ・スピーカーのような話し方ではないかもしれません。でも明瞭に聞き手に伝わるように話しており、Tastyのプロデューサーも務めていらっしゃるほど大活躍されているのです。

Rie’s Favorite Ramen Recipes • Tasty

自分自身が英語を学ぶ時に現実的な目標設定をするようになると、日本語を学んでいる人にも優しくなれるのではないかと思っています。

語学の話題が出たということで、参加者からは「語学は音から入るべきか?それとも文字から入るべきか?」といった質問や、「母語であまり話が達者でない人が、外国語を話した途端に饒舌になるのでしょうか?」といった質問をいただきました。

②小松左京・石川喬司監修(1979)『SFファンタジア〈5〉風刺編』学習研究社

続いてプレゼンしてくれたのは、かずひろさんTwitter)。SFファンタジア』の第5巻「風刺編を紹介してくれました。論考や漫画、小説等がまとめて掲載されておりSF入門に最適なムック本です。

『SFファンタジア』には他にも、地上編、時空編、異世界編、幻想編、マンガ編、アート編があります。しかしこの風刺編が、一番のお気に入りなのだとか。

様々な記事がある中、今回は「渋滞があまりにも長いので車内で暮らすことにした家族」の風刺画や、家族構成や趣味嗜好の全てが平均的な家族を描いた藤子・F・不二雄のマンガ『並平家の一日』を紹介してくれました。

かずひろさんはSFが大好きで、中学生の時に星新一の著作を大活字版で読む漁ったのだとか。製薬会社が儲かるように政府が新型ビールスを作り続けるという、「流行の病気」という星新一作品も教えてくれました。同作は理論社から2002年に出版された『星新一ショートショートセレクション5』に収録されています。

「流行の病気」が収録されている『星新一ショートショートセレクション5』

プレゼン後にかずひろさんは、「みなさんは、どうやって本を選んでいますか?」と質問。ムック本を買うことが多いかずひろさんは、「本の真ん中より少し前辺りのページを開いて、『なるほど』と思う箇所があったら買う」そうです。

新書や専門書を買うことが多いジェリーわたなべは、「目次や小見出しを読んで興味をひかれるか」や「分かりやすい構成か」をチェックして買います。

特に興味深かったのが、普段は小説をよく購入するという彩さん

セリフの書き方に注目して、買うかどうかを判断するのだとか。「話し方は自然か」、「登場人物が突然エモーショナルにならないか」等をチェックしているそうです。

他にも表紙で本を選ぶ「ジャケ買い」の例として、角田光代・穂村弘(2012)『異性』を紹介してくれました。

さらに彩さんは、本の帯に書かれている推薦文に注目して「オビ買い」もしているのだとか。「同じ職業の人が推薦しているのだから、面白いに違いない」というのが、オビ買いをする理由。

その例として津村記久子(2015)『この世にたやすい仕事はない』を紹介してくれました。この本の帯には伊坂幸太郎が推薦文を寄せています。

③長嶋有(2014)『祝福』河出書房新社

今回最後の発表者は彩さんTwitter)。

積ん読が切れた時によく読み返すという、祝福を紹介してくれました。男女10人の日常を描いた本作品を書いたのは、芥川賞受賞者で「ブルボン小林」名義でも活躍している長嶋有。

彩さんがおっしゃるには、氏の作品は「映像がすっと頭に浮かび、すごく自然なドラマを観ている気持ちにさせてくれる」のだとか。

また人の話し方や癖によく気がつく彩さんは、作品中の「そういえば原田は『だぜ』という(と語尾につける)男だった。鼻声で語尾も伸びるから、あまり重みのない『だぜ』」、のようにディテールが書き込まれている点もお気に入りなのだそう。

他にはタンノイのエジンバラも紹介してくれました。「あまり接点のない『同じマンションに住む子ども』という、『親戚でも何でもない、極めてかかわりの浅い小学生女子』とのなんとも言い難い時間を描いた作品」です。

彩さんは、氏のサイン会に参加したこともあるそう。飄々と人物で、「どの作品から読み始めたんですか?」などと、積極的に話しかけてきてくれたのだとか。(ちなみに、彩さんが最初に読んだ長嶋有作品は『夕子ちゃんの近道』)

他にも、表題作がシャーリー・ジャクスン賞の候補になった松田青子(2021)『女が死ぬ』を紹介してくれました。

参考:海外でも注目される作家・松田青子さんが語る、小説のつくり方と最新短編集

参加者感想:彩さん

読書会。色々な意味で「ひとりでは到達しがたい所」へ行ける、ミステリーツアーのようなイベントだなあと思います。

いや、今回は3歳児が同席していたので、紛れもない、ド日常ではあったのですが。それでも。

殊にオンライン開催ゆえ、参加者宅が基点となっており、そこから各人にツアーガイドをつとめてもらうような感覚を味わえました。語学、SF、小説の世界へ右往左往に飛び回り、時にそれらの世界が融合していくのを体感出来る。知的好奇心をかきたてる、愉しい時間でした。

分科会も始めるよ!

参加してくださったみなさんのおかげで、無事に第1回を終えることができました。「これ読んでるよ!」では、7月から分科会も始めます。今読んでいる本を紹介してもらうのが目的の本会と違い、分科会はテーマ性を重視。7月は夏ということで、「怖い話・不思議な話」をテーマにお話をする予定となっています。

7月の分科会はオープンにはしていませんが、今後随時参加者をSNS等で募る計画です。よろしくお願いします。


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