【開催報告】オンライン読書会をしたよ!

読書

「最近、無目的にインスタやYouTubeを観てしまっている」
「もっと読書したいぞ」
「アウトプットした方がやる気が出るだろう!」

という動機から、読書報告ゼミを主宰しました。

ゼミの名前は「これ読んでるよ!」

小さい子供が大人に読んだ本を紹介するように、楽しい気分で読んだ本を教えてほしいという想いが込められています。

負担が最小限になるよう事前に課題図書を指定せず、現在読んでいる本を紹介してもらうことだけを各参加者にお願いしました。

知人の彩さん(Twitter:@yaashiyabayami)、高橋かずひろさん(以下、かずひろさん。Twitter:@kazuhirosanto)、茶谷ムジさん(以下、茶谷さん。Twitter:@chatani_muji)にご参加いただき、2021年6月6日日曜日の13時から15時30分頃までZOOM上で第0回(パイロット版)を開催。

初めて読書会を主宰したので、何が起こるのか分からず当日まで不安を拭いきれず…。ですが蓋を開けてみたら、みなさんビールを飲んだり、柏餅食べたり、カフェラテ飲んだり、お子さんと共演したりと、和やかな雰囲気で開催できました。

以下では、各参加者が紹介してくれた本&ディスカッションの内容をご紹介します!
※著者および編者の敬称は、省略してあります。

一人目:言語能力は常に変化している

トップバッターは私、ジェリーわたなべ。日本語専攻の大学院生をしつつ、翻訳ライターとしてもお仕事をいただいております。

最近あった小さな幸せは、好きなモデルさんのインスタライブで初めて彼女の声を聴けたこと。

紹介したのは、川上郁雄『JSLバンドスケール【中学・高校編】:子どもの日本語の発達段階を把握し、ことばの実践を考えるために』という本です。

このJSLバンドスケールとは、日本語を学習している未成年者の言語能力を見立てるためのツール。「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を、各8つのレベルに分けて見立てます。

※JSLとは”Japanese as Second Language”のことで、「第二言語としての日本語」という意味

このツールは日本語教師だけでなく、在籍学級の担任等の教員にも見立ててもらうことを前提としています。なぜなら言語能力はコミュニケーション相手や、学習者のその日の体調などで左右されるからです。つまり言語能力は常に変化している、という考え方が背景にあります。

「介護の現場でも、複数の職員で1人の人を介護するという考え方が主流です」というお話が出ました。

また、かずひろさんから指摘されて気づいたのですが、このスケールはレベルが高くなるほど「年齢と学年に応じたスピードで読むことができる」のように、記述がシンプルになり、全体の記述量も減少していきます。

これはレベルが高くなるほど、全ての生徒に共通している特徴が少なくなるからではないでしょうか。

JSLバンドスケール(中学・高校編)の「読む」のレベル8

最後に参加者に「学生時代のクラスに、外国籍のお友達はいましたか?」と聞いたところ、みなさんの友人に少なくとも1人は、そのような方がいたみたいです。

そのような友人には、日本人と同じくらい日本語を流暢に使っていた方が多かったそう。「周囲からは『日本語を話せている』と見られている生徒に日本語の支援をする時は、生徒のプライドへの配慮が必要だな」と改めて考えさせられました。

二人目:「地味怖い」、「派手怖い」

2番目に発表してくださったのは、彩さんTwitter:@yaashiyabayami)。

茶谷さんの大学からの友人で、現代日本文学とビールが大好き。また1990年代の日本のファッションも好きなのだとか。

丘の上にある自宅前の建物が取り壊され眺望が非常に良くなったことが、最近の小さな幸せなのだそうです。

そんな彩さんが紹介してくれた本は4冊。

都築響一『TOKYO STYLE』

・1990年代東京の部屋を撮った写真集。

町田そのこ『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』

本谷有希子『生きてるだけで、愛。』

・2018年には映画化もされています。
・彩さんが、お気に入りの「大丈夫たよ」の部分を音読してくれました。
・茶谷さんからの情報により、『メトロニュース』というフリーペーパーに著者が寄稿していることが判明。「物物もの語り」というタイトルで、「上落合交差点の信号機」や「平和台の給水塔」が自分語りをするという内容です。

今村夏子『こちらあみ子』

・本書に収録されている「ピクニック」について、特に熱を込めて紹介してくれました。

「ピクニック」は…
ⅰ「読む人によって感想が変わる」ので、この作品をどう思うかをみんなで語り合いたい
ⅱ同じ人によっても、読んだ時の体調によって受け取り方が違う
ⅲ「どう思うかによって、その人の人間性が浮き上がってくる恐ろしい」
作品なのだそうです。

以上のように彩さんは、地味に怖かったり「たぎる女」が出てくる小説に惹かれるのだと分かりました。このことを受けて、今までに怖いと感じた作品についてみんなで議論し、「地味怖い」と「派手怖い」という2種類の怖さがあることが確認されたのでした。

Ⅰ地味怖い
・星新一作品のような後味の悪さ。
・登場人物が自分で勝手に怖さを生み出しているかもしれない。
・例:亡夫が貸していた物を返してもらいに来る女が登場する、内田百閒「サラサーテの盤」
・例:ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』

Ⅱ派手怖い
・例:永井豪『デビルマン』のラスト
・例:高橋和巳『邪宗門』の、満蒙開拓団が遁走するエピソード

三人目:「観客の広い心が必要」

3番目の発表者は、かずひろさん(Twitter:@kazuhirosanto)。

谷中研究所および謎フード公安委員会に所属されています。僕とは謎フード公安委員会つながりです。ノンフィクションを読むことが多く、最近では戦前の日本に関する本をよく読んでいるのだとか。

先日スカウトのお仕事を始めたことが、小さな幸せなのだそうです。

そんなかずひろさんが紹介してくれたのが、

映画秘宝編集部編『あなたの知らない怪獣マル秘大百科』

Untamed Women (1952) – Trailer [35 mm] [En]
『美人島の巨獣』予告編

どこかで観たことのある特撮ヒーローが怪人達をやっつける『中国超人インフラマン 』や、着ぐるみを用意するのが手間だから本物の爬虫類を使って撮影した『美人島の巨獣』等の気になる映画を紹介してくれました。

中でも、本物の爬虫類を使った映画を楽しむには「観客の広い心が必要」という言葉がとても印象的でした。

さらに話は『アウターリミッツ』『ウルトラQ』等の特撮ドラマのお話へ。『ミステリーゾーン』や『アウターリミッツ』等の海外ドラマはチェックしていたのですが、国内の『ウルトラQ』がノータッチだったので「チェックせねば!」と思った次第です。

また、「非現実的な設定を通して、現実でどう生きるのかを考えさせられる」というフィクション作品の魅力にも話が及びました。

さらにかずひろさんは過去に売られていた雑誌が好きということで、2000年創刊の雑誌『宇宙船』『ウルトラゾーン』と『アウターリミッツ』が特集されているページも大公開。

1968.9 怪奇大作戦 OP & ED

そして「特撮ドラマといったらこれ!」ということで、『怪奇大作戦』のOPとEDをみんなで鑑賞したのでした。ちなみに高校生だった僕がこのドラマの第24話「狂鬼人間」を盛田栄一他『空想法律読本2』で知り、心底ビックリした記憶があります。

四人目:日比谷交差点に巨大◯◯◯

最後に発表してくださったのが、過去に「つくば山やダチョウ王国に行くバスツアー」で知り合った茶谷さん(Twitter:@chatani_muji)。

朗読会等の本に関するイベントを積極的に行ったり、旅先で立ち寄った場所にゆかりのある作家さんを読んだりしているのだとか。最近は吉村昭を読んでいたそうです。

小さな幸せは、職場のおばちゃんから飴ちゃんをもらったこと。

そんな茶谷さんは東雅夫編『文豪怪奇コレクション 恐怖と哀愁の内田百閒 』を紹介しつつ、内田百閒の魅力について語ってくれました。

内田百閒の作品は「ホラーなんだけど、派手なホラーではない。静かに這い寄ってきて、気づいたら悪夢の中に取り残される感じ。でもちょっと笑っちゃうホラー」なのだとか。

鈴木清順監督が『ツィゴイネルワイゼン』というタイトルで映画化した前述の「サラサーテの盤」や、ヌメヌメした巨大生物が日比谷交差点に現れる「東京日記」にも言及。茶谷さん曰く「百閒先生は、巨大◯◯◯を自然と東京の街なかに出現させることができる作家さん」なのだとか。

映画『ツィゴイネルワイゼン』予告編

このヌメヌメした生物は泉鏡花「夜釣」にも気色悪い存在として描かれており、僕は「欧米における蛇のような、気持ち悪さの象徴なのかな?」と思いました。

さらに彩さんも、小川洋子編『小川洋子と読む 内田百閒アンソロジー』を現在読んでいるとのこと。内田百閒作品の「現実と非現実の境目がくっきりしていないのが好き」なのだそうです。

彩さんが話題提供してくれた「怖さ」と、かずひろさんが提示してくれた「怪獣」とが、茶谷さんの発表で「内田百閒」に見事に着陸したのでした。

まずはこれをチェックしたい!

パイロット版となる今回のゼミを無事に開催できたのは、参加者みなさんのおかげです。

紹介したい本を山積みにして臨んでくれたり、本物のイグアナを使った撮影方法を身振り手振りで熱を込めて紹介してくれたり、お忙しい中全力でご参加いただき、ありがとうございました!

アルゴリズムで導き出される”オススメ”だらけの世の中で、未知の分野の本との出会いをみなさんにも楽しんでもらえたようでした。

※現在は参加者をオープンにしていませんが、いずれは色々な方に参加していただける形で開催したいと考えています。

最後に、僕が次回のゼミまでにしておく宿題は…

1.内田百閒「東京日記」読む
2.内田百閒「サラサーテの盤」読む
3.今村夏子「ピクニック」読む
4.『ウルトラQ』観る


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